幕間1

 

 今でも、悪夢に魘されて起きる朝がある。夢の内容はいつも同じだった。
 いつもは女優や芸人をこれでもかと照らしているのだろう、強すぎるライトが照りつけるスタジオの異様な暑さに視界が歪み、ボタンに重ねた僕の手には二人分の震えた手が重くのしかかっている。
 三人の真ん中に居た僕が左右を見渡せば、同じような三人組がこぞって緊張した面持ちで前を見据えていた。
 斜め前でタブレットを抱えるスーツ姿の男が口を開く第一声を聞き逃すまいと、呼吸の音さえ発することを許されない、異様な空間。
 僕はスーツ姿の男――番組の司会者が口を開くほんの一瞬を見逃さず、誰よりも早くボタンを押すと同時に願った。
 
 ああ、神様、どうか僕に「個性」を使わせてください。